精進料理

精進料理

 

感謝の心を忘れないお寺のごはんーー‐精進料理

 

和食の中で、ひときわ異彩を放つ存在として、肉や魚を使用しない「精進料理」があります。

 

「精進」という言葉は仏教における修行の一つのテーマで、「懈怠しないこと」、つまり怠けないことが大前提です。

 

このような意味から、スポーツ選手などが決意を述べる際に「精進を重ねて…」と発言されることがあります。

 

さて、精進料理は僧侶が修行に専念できる身体を維持することを目的に発達した料理ですから、懐石料理や会席料理とは成立過程がまったく異なっています。

 

したがって、精進料理においては仏教徒が最低限、守らなければならない戒律(五戒)のひとつ「不殺生戒(生命のあるものを害してはならない」)が厳守されます。

 

鳥獣魚貝の類はもちろんのこと、野菜であってもつ「五葷」(ごくん)と呼ばれるニンニク、ラッキョウ、ネギ、ヒル、ニラ(在家者はニラ、オオニラ、ニンニクニ、アブラナ、コエンドローの「五辛」)など、刺激臭の強いものは修行の妨げになることから使用することを認めていないのです。

野菜類、穀類、豆類、海藻類などの食材を調理

つまり、精進料理は「五葷」を除いた野菜類、穀類、豆類、海藻類などの食材を調理したものといえます。

 

精進料理の概念は、六世紀半ば、仏教とともに日本伝わっていましたが、本格的に発達したのは中国から禅宗が流入した、鎌倉時代以降のことといえます。

 

江戸時代に入ると、精進料理の存在は一般庶民にまで認識されるようになり、17世紀以降、盛んに刊行されるようになった料理本のなかでも一分野を占めるほど、不可欠なものとなっていきました。

 

また、会席料理の発展とあいまって、大寺院の門前には精進料理専門店も出現するようになりました。

 

今日でも、禅宗寺院が多い京都や鎌倉では、野菜や豆頬、穀類など限られた食材で工夫を凝らした判理を、朱漆塗りの本膳、二の膳、食器に彩りよく盛りつけた料理を供する、精進科理専門店が寺の門前に店を構えています。

 

精進料理の実例としては、会席料理の刺身は、もちろん魚貝類ですが、精進料理においては青海苔などを加えて芙しく彩った「刺身蒟蒻」でしょう。

 

生で蒟蒻を食べることから刺身を冠して呼び、山葵醤油や酢味噌などをつけて食します。

 

このほか、生湯葉や生麩、野菜や海藻類など、生で食べられるものは刺身の素材とされます。

 

煮物は野菜や大豆裂品、海藻類などで構成されますが、山汁は昆布や椎茸などで、ひいたものでなくてはいけません。

 

鰹節や煮干しなどは、魚を乾燥させたものですから使えないのです。

 

根菜類は「精進揚げ」と呼び、天ぷらにされることも多いようです。

 

さらに、工夫を凝らして誕生した精進料理の一品に、「がんもどき」や「鰻もどき」などがあります。

 

どちらも豆腐を用いたものですが、「かんもどき」は雁の肉に似せたもの、「鰻もどき」は摺った豆腐を浅草海苔にのせて油で揚げたもので、総称して「擬き料理」(もどきりょうり)といいます。

 

このように手の込んだものも良いのですが、大根や牛芳、蓮根などの根菜類の煮物も精進の出汁を用いたものであれば、精進料理の範疇に入るのではないでしょうか。

 

さらに、胡麻和えや白和えなどの和え物も精進料理のルールに則っていれば、家庭で手軽にできる精進料理といえるでしょう。

 

このように考えてみますと、食材に制限はありますが、かなりバリエーションに富んだ料理といえるのではないでしょうか。

「普茶料理」

さて、精進料理のなかに、「普茶料理」と称するものがあります。

 

「普茶」とは「茶を普く」という意味で、隠元禅師(1591〜1672年。黄ばく山万福寺の開祖)の来朝とともに伝来し、新しい食事形態をもたらしました。

 

普茶料理は数人が一つのテーブル(長方形の座卓)を囲み、大人や大鉢で出された料理を各人が単瓢(ちりれんげのこと)で取り分けて食べるという形態で、銘々膳とは大いに異なるものでした。

 

ちょうど、同時期に普茶料理と同じような食事形態をとる「卓袱料理」(卓はテーブル、袱はテーブル掛けのこと)が長崎で流行していましたが、普茶利理との相違点は、卓袱料理は食材として動物性食品も使用できることです。

 

普茶料理は食前に、菓子と春蘭の花とつぼみを塩漬けにした蘭茶が出されます。

 

その後、次のような料理が出されますが、利理はすべて中国語で表現され澄汁(すめ) すまし汁(汁物は大鉢に入れて出されるため、各自、単瓢で取り分けます。口をすすぐように飲ひのが作法)


 

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