すき焼きの誕生

すき焼き

 

海外では和食ファンが急増中で、
日本式の料理文化が脚光を浴びていますが、その中に牛肉料理のすき焼きがあります。

 

平の鉄鍋に薄切りにした霜降りの牛肉と野菜、シラタキ、それに焼き豆腐などを入れ、ちょっと甘めの醤油味で煮ながら口に運ぶ。煮加減は自分好みでいい。

 

煮過ぎると肉が硬くなって味が落ちてしまうから、口に運ぶタイミングがむずかしい。

 

ビールを片手に鍋の中の肉をひっくり返したり、野菜やシラタキなどを引っぱったりしながら、肉の様子を真剣にうかがうことになります。

 

霜降り肉は高価だから一刻も油断はできないのです。

 

生煮えぐらいが霜降りの脂も残っていてやわらかく、とろけそうな肉のうまさの中にかすかな甘味さえあって、いつ食べても美味なのです。

 

ほどよく熱が通り、醤油味の沁みた肉だけでもうまいのに、生卵をからめて□にするわけだから、とろ味感がさらにうま味を増幅させ、「至福の時」をつくり出すことになるのです。

 

すき焼きの呼び名が出始めたのは明治の文明開化のあとで、前身は江戸の町で幕末の頃に流行した肉鍋と言われています。

 

江戸は出稼ぎの町だから独身の男性が多く、裏通りの長屋などに地方出身の独身者が少なくなかった。
彼らを相手に始まったのが肉鍋屋で、味がよく、冬などには体もあたたまり、体力もつくところから大繁盛となったのです。

 

江戸後期人気のあった『江戸繁昌記』には

 

「およそ肉にはネギがよく調和する。一人の客にひとつの鍋を用意し、火鉢を並べて配置する。上戸は肉料理で酒を飲み、下戸はそれで飯を食う」とあります。

 

最初はイノシシやシカなどだったのですが、だんだん牛肉中心となり、明治に入るとほとんどが牛肉になってしまいました。

 

野生獣に比べて、牛肉は確かにうまいのです。イノシシやシカに比べて脂肪がこってりと含まれているのです。

 

脂肪ののり具合が牛肉の魅力であるのですが、食べ過ぎはよくない、というわけで、コンニャクと野菜を中和剤的に入れたのです。

 

脂の取り過ぎを防ごうとする、日本人の知恵が発揮されたのです。

 

ここで、たくさんの野菜を食べてきた日本人の経験が見事に生かされました。

 

牛肉にシラタキ、春菊、シイタケ、ネギ、焼き豆腐などを入れて一緒に煮込む。するとシラタキに牛肉のうま味がしみ、野菜や、豆腐にも同じ現象が起こって、牛肉同様に具までうまくなってしまったのです。
和食的牛肉料理の大成功の例です。

 

野菜をたっぷり入れて、シラタキや豆腐まで野菜と一緒に食べるようになり、牛鍋は「健康長寿鍋」に変わってしまったのです。

 

今ではシラタキは不可欠となり、うっかり忘れて入れなかったりすると、欲求不満がつのり、

 

「あ〜何ということだ。シラタキのないスキヤキなんて、餅の入っていないお汁粉みたいなものじゃないか」

 

と、落胆してしまうほどの存在になっている。

 

なお、コンニャクには、体内に入った余分な脂肪やコレステロールなどを吸着して体外に排出する働きもあります。


 

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