薬味のこと

「薬味」の効用

 

和食は盛り付けも美しいのです。

 

和食を「ビューティフルなワショク」「食べる芸術作品」と外国の方々が称賛するのです。

 

感動しながら口にすれば味わいも深まり、満足感も増えるのです。

 

当然、消化器の反応も良くなり、健康効果もさらに高くなるというわけです。

 

和食の最大の特徴は、素材の待ち味を生かすことです。

 

自然の持ち味がよりおいしく味わえるよう、焼くにしろ、煮るにしろ、最小限の人手しか加えないのです。

 

持ち味至上主義のベストな方法は魚だったら生食だから、日本人はどのような料理法よりも刺身を好むようになったのです。

 

料理の美しさを、さらに引き立てるのが「薬味」です。

 

薬味は、主体になっている料理の味、色、形を生かすための小さな味と色のアクセントだといえるでしょう。

 

何しろ、「日本料理は目で食べる」と言われるほど、盛り付けや配色の美を重視するのです。

 

薬味は単なる料理の飾りではなく、文字通り「薬」と「味」、つまり薬効成分の気配りも大切なのです。

 

薬味はほとんどが香辛植物で、ビタミン類の他にいずれも特有の香りや薬効を有し、刺激味の強いものもあります。

 

元々は薬用植物の場合が多く、料理に少量添えることによって、健康にプラスするという意味が「薬味」には含まれています。

 

日本の場合、諸外国にはない独特の香辛料が薬味として発達しだのは、仏教の伝来によって獣肉食がタブーとされる時代が長く続き、動物性たんぱく資源が魚となり、魚が料理の主菜になったためにほかなりません。

 

刺身にしても、赤身か白身自か、それにタコ、イカ、あるいはアワビなどの貝類によっても薬味が違ってくるほど繊細です。

 

その上、食中毒の予防にも配慮して薬味の種類を決めなければなりません。

 

昔は山椒やユズ、ショウガ、三つ葉、シソ、ミョウガなどの香辛植物をどの家でも庭の一角で作っていたものです。

 

それほど、魚や貝類を生食していたのです。

 

普通の家の庭に、山楸、ユズをはじめ、三つ菜、シソ、ミョウガ、フキ、ノビルなどが植えてあり、魚介類の生食やそばを食べる際に役に立っていたのです。

 

薬味の機能

 

主な薬味の機能をあげてみます。

 

ネギ………万能の薬味で、味噌汁から鍋物、うどん、そばまでと幅広い人気があります。
根深ネギ、葉ネギに大別されますが、つんと鼻にくる刺激臭は硫化アリルで、食欲を増進させたり、疲労回復や殺菌効果などの働きがあり、薬味に最適なのです。

 

シソの葉……爽快な香りが身上の香味野菜で、「犬葉」とも呼ばれていますが、グリーンの色彩が鮮やかで、刺身のツマや冷や奴の薬味などでおなじみです。特有の香りはペリルアルデヒドで強い殺菌力があるため、よく刺身に用いられます。
生臭さを抑え食中毒の予防にも役に立つのです。アジなどのたたきに刻み込んで混ぜ、香りを存分に生かしています。カロチンの宝庫で、他のビタミン類も多くなっています。

 

ショウガ……辛味や香り成分のジンゲロンやショウガオールには、殺菌や消臭をはじめ、血行をよくしたり、消化促進、発汗などの作用があります。
辛味は新ショウガよりもひね(古根)ショウガの方が強いです。昔から民間療法として風邪の諸症状緩和や食中毒の予防などにも用いられてきました。

 

大根……細切り(しらが大根)にして、よく刺身の付け合わせに用います。これを『つま』といい盛りつけを美しく引き立てると同時に、一緒に食べることによって消化をよくし、生臭さを消す役割をしています。各種の消化酵素が豊富で、よく天然の消化剤と言われます。
また、辛味の強い大根はおろしにしてそばの薬味に用いられます。根のビタミンCは皮の部分に多いので、すりおろす時には皮ごと利用します。

 

ワサビ……色、香り、辛味と三拍子揃った日本独自の薬味で日本原産です。
辛味のもとはシニグリンという成分で、すりおろしたり、傷つけたりすると細胞が壊されて、酢素が働き、強烈な辛さの成分であるアリルイソチオシアネートに変化します。
「すると思うな、練ると思え」が、ワサビをより辛く、ねっとりとした仕上がりにするコツです。アリルイソチオシアネートには、強い殺菌と防腐作用があり、魚の刺身や鮨などにワサピを添えるのは魚毒を排除して、食中毒を防ぐ上からも大変理にかなっているのです。

 

ニンニク……私たちのご先祖は古くから、すりおろした生のニンニクを膾(生魚の薄切り)や刺身のつけ汁にしてきました。
臭気のもとはアリシンで、これを料理に用いると香ばしいうま味に変化し、素晴らしい魅力となるのです。アリシンには強い殺菌作用もあります。

 

トウガラシ……料理に激烈な辛味を演出する薬味です。
辛味の主成分はカプサインシンで、胃液の分泌をよくし、脂防の代謝を高めて体脂肪の苗積を抑える作用があります。

 

つまり、上手に用いればダイエット効米を高めることが期待できるのです。薬味として活用すると減塩しても料理がおいしくなります。

 

山椒……『魏志倭人伝』にも山椒が記録されていて、菜と実に特有の香りと辛味があります。
ウナギの蒲焼きに、成熟した実を乾燥粉末にした粉山椒は欠かせません。強い香りと、サンショオールという、ピリピリとした舌を麻痺させるような辛味成分を持っています。
山椒は、二月頃から芽を吹き、この若芽を木の芽と呼んで天盛りや吸い口、木の芽田楽などの材料にするのです。

 

三つ葉……切り三つ葉、根三つ葉、糸三つ葉(青三つ葉)の三種類があり、香味野菜として和えもの、鍋もの、汁もの、茶わん蒸しなどに用いられます。
葉、茎ともに組織がやわらかいので生食もでき、とくに葉は香りが高いです。

 

ユズ……栽培カンキツ類の中でではもっとも耐寒性があり、東北地方でも栽培されています。
8月頃から初秋にかけて出荷されるのが青ユズで、10月を過ぎると黄ユズとなります。ユズの香りはリモネン、ビネン、テルピネンなどで、酸味はクエン酸とリンゴ酸が中心です。

 

日本を代表する香りを待った果実で日本料理の香りづけに頻繁に利用され、皮を刻んで使用するところも独特です。果汁をしぽって食酢とし、鍋物や酢のものなどに用います。

 

香りは皮にあるので、皮の厚いものがいいのです。
皮のビタミンC含有量はレモンやスダチ、ミカンなどよりもはるかに多いのです。

ワサビ、カラシ、サンショウ

 

日本食では、香辛料と呼ばれる「刺激を与える調味料」、さほど多く使われていません。

 

あくまでも、料理を引き立てるものとして、少量用いられるのです。

 

日本の食材は、基本的にとても新鮮で、生のまま食されるものが多いのです。

 

そのため、香辛料で臭みを抑えたり、保存性を増したりする必要があまりなかったのでした。

 

ただ、室町時代に刺身を食べる習慣が広まると、ワサビをはじめとする香辛料の用途が広がりました。

 

ワサビは、数少ない日本原産の野菜で、鎌倉時代には禅寺で栽培ざれ、精進料理に「ワサビの寒汁」などのメニューで加えられていました。

 

刺身にワサビが合うというので、室町時代にワサピが人気となったのですが、ワサビの栽培が本格的におこなわれるのは江戸末期の安政年間のことで、それまでは自生のものが用いられていました。

 

ワサビ栽培は、清涼な水を大量に必要とするので、水が豊かな伊豆天城で盛んに栽培されるようになり、その後、長野、福島などの山間の渓流などでも栽培ざれるようになりました。。

 

そのころから作られるようになった岡のワサビ漬けは、ワサビの根や茎をみじん切りにして、熟成させた酒粕に和え、調味したものです。

 

辛子は、もともと塗り薬などとして用いられていました。

 

食用とされるのは室町時代以降で、カラシ味噌、カラシ酢、カラシ和えなど、さまざまな料理が現れました。

 

熊本の辛子レンコンはいまでも有名です。

 

ショウガ(生姜)、サンショウ(山倣)も、日本では古くから香辛料としてなじみ深いものです。

 

乾燥したショウガは、鎮痛、鎮咳、解熱効果があるなど、漢方としても利用されてきました。

 

また、ショウガには身体を温める効果があるので、粥の薬味に利用ざれました。

 

また、カツオなどの刺身の薬味に幅広く利用されました。

 

サンショウは、香り付けの役割の他に魚の臭みや毒を消すとして、ウナギの蒲焼きに添えたり、ふぐちり鍋に用いられたりしました。

 

乾燥させたサンショウの他に、細かく砕いた摺リサンショウ、粉サンショウ、粗く砕いた割りザンショウなど、さまざまに用いられました

 

加工食品として、サンショウ味噌などもあります。ピリリと辛い調味料が人気を呼んだのです。


 

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