懐石料理

懐石料理。茶を喫する腹ごしらえ

 

和食の発展には、茶の湯が多大な影響を与えました。

 

茶の湯は禅の思想と深い繋がりを持ち、厳しい修行中の禅憎が懐に温めた石を入れて空腹を満たしたことに由来する、「懐石料理」を生みだしました。

 

今日、茶事における懐石料理は、会席料理との混同を防ぐために「茶懐石」とも称していますが、懐石料理懐は覚醒作用があるほど刺激が強い茶をおいしく喫するための料理で、軽く空腹を満たす程度のものとされます。

 

満腹では、せっかくの茶もおいしく味わうことができませんから、なんでも「腹八分目」でなくてはいけません。

 

茶事における懐石料理の萌芽期には二の膳つぎの丁寧な献立もみられましたが、天正年間に、茶室の規模も四畳半となったことから本膳だけの「一汁三菜」が最適とされ、次第にこの形式が定着していきました。

 

さらに、江戸時代には「三菜」は刺身・煮物・焼き物とすることが確立したのです。

 

一年間の茶事は、茶人の正月といわれる11月の「口切り茶事」を初めとしてに要なものに、次のようなものがあります。

 

11月: 口切り茶事{陰暦の10月初旬、新茶芥の茶壷の口を切り、新茶を用いて行う茶事
1月 :初釜の茶事(新年を寿ぐ茶事)
2月 :夜噺の茶事(午後六時頃から催す茶事。12月から2月の寒い時期におこなう)
5月 :初風炉の茶事(炉が夏の点前である風炉に変わった当座の季節に行う)
7月 :朝茶事(夏の早朝、暑くなるまでの時間に行なう)
10月 :名残りの茶事(前年の古茶の名残を惜しんで行う茶事)

亭主みずから料理をもてなす

 

これらの茶事の一環である懐石料理は、茶室において主催者である亭主によって次のような順序で客に供されます。

 

亭主みずから心づくしの料理を客の前に運び、もてなすのです。

 

1.飯・汁・向付

 

折敷の前、左に飯椀、右に汁椀、奥に向付を配置する。利休箸(両端を細く削った杉箸)を両椀手前、折敷の縁に載せかけ、箸置きは使用しません。

 

飯椀・汁腕は蓋利きの漆器、向付は陶磁器を用います。

 

飯 飯椀には炊きあがったばかりの蒸らさないご飯一杓子を「一文字」「山形」「丸形」などに盛りつけます。

 

来客を待ちかねていたという心を表すために、ご飯は蒸らさないのです。

 

また、極めて和少量であるのは、煮物が出されてから、おかわりが勧められるからです。

 

汁 具材は香り豊かな野菜類や、生麩、生湯葉、豆腐、海草などを用い、魚肉は使用しません。

 

少量の汁で、関西は白味噌仕立て関四は仕立、関東は合わせ味噌什立とすることが多いようです。

 

向付「一汁三菜」の1菜目に当たり、一塩した白身魚の細作りに二杯酢をかけたものが一般的で、一献目の酒が出されてから食するのが通例です。

 

2.酒(一献目)
3.煮物
一献目の酒の後、二菜目の主菜にあたる煮物椀(飯椀や汁椀より、やや大きめの漆塗りの蓋付き椀)が出されます。

 

煮物に続いて、飯次(飯器)が出され、客は飯椀におかわりのご飯を各自でつけます。
同時に、汁替えが勧められ、汁のおかわりが運ばれます。

 

4.焼き物
三菜目にあたる焼き物が大鉢(通常約33センチ以上のもの)に盛って供されますと、客は取り箸で各自、向付か煮物椀の煮物椀のふたに取り分けます。

 

二度目の飯次が出され、二度目の汁替えが勧められますが、汁は通常、辞退します。

 

5.酒(二献目)
6.進肴
懐石料理の基本は一汁三菜ですが、今日では一汁三菜に加え、進肴あるいは「預鉢」と称して炊き合わせなどが出されることが多くみられます。

 

焼き物同様肌き物大鉢に盛り合わせた料理を取り箸で取り分けます。

 

7.小吸物
「箸洗い」「すすぎ汁」とも称し、食事の最後に出される小さめの吸い物です。

 

白湯に近い味わいで、ほのかな昆布の味、梅干しの酸味や塩味が感じられる程度のものが良いとされています。
以後は.盃事となります。

 

8.八寸
もとは八寸(約25センチ)四方の片木盆(杉の素本の角盆)のことをいいましたが、それに盛った刈理のことも八寸といいます。

 

二品か三品を盛り合わせますが、二品の場合は山海の珍味が供され、たとえば正月ならば、山の幸としで黒豆、海の幸として数の子となります。

 

亭主が三献目の酒を杯に注ぎ、八寸に盛りだ肴を小吸物椀の蓋に取り分けます。

 

その後は、亭主と客が交互に盃を交わす「千鳥の盃」となります。

 

9.湯と香の物
盃事終了後、湯桶(湯斗とも書き湯次ともいう。)と、鉢に盛られた香の物がだされます。

 

飯椀と汁椀に湯と湯の子を入れ、香の物を用いて椀全体を濯ぎ、すべて飲みきります。その後、器を懐紙で清めます。

随所に禅寺の食事作法

 

懐石料理においては、使用する器の数は最小限にとどめ、飯次や焼き物・進肴など大鉢で供されろものは各自、向付の器や煮物椀の蓋などに取り分け、各自の器は使用後、懐紙で拭き清めて亭主に返すなど、禅寺の食事作法が随所に取り入れられているのが特徴といえます。

 

さらに、亭主は食事を客と一緒に摂らず、ひたすら「もてなし役」に徹するのも特筆すべきことでしょう。

 

こののち、茶を喫するために主菓子が、縁高(縁を高くした折敷)や食籠(蓋付きの菓子器)に入れて出されます。

 

主菓子は各自、懐紙にとって黒文字(楠木科の落葉低木で作った楊枝)を使っていただきます。

 

そして、いよいよ茶事のクライマックスである、濃茶・薄茶へと進行していくのです。


 

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