焼き魚と煮魚

焼き魚と煮魚

 

鮮度によって食べ方が変わる

 

魚を生で食べる刺身は、もっとも贅沢な食べ方ですが、和食では鮮度によって調理法が変えられています。

 

生で食べるのには、少々、無理があると判断されると加熱処理されることになります。

 

つまり、焼魚や煮魚に変身させるのです。

 

ふり塩をして直火で焼いた「塩焼き」には基本中の基本ですが、次のような工夫を凝らした焼き物があります。

 

さて、焼き魚と異なる味わいのある煮魚は、すでに江戸時代から行われていました。

 

当時の煮魚は、塩・味噌・垂味噌(味噌に水を加えて煮詰め、これを袋に入れて垂らせて作った汁)で調味し、醤油を多用した甘みの少ないものでした。

 

というのも、砂糖の生産が拡大したのは18世紀初めからで、それ以前は一般庶民には、到底、ての届かない貴重品だったからです。

 

8世紀はじめからで、それ以前は一般庶民には、到底、手の届かない負重品だったからです。

 

延宝二年(1674年)に刊行された『江戸料理集』には、甘く味付けした「甘煮」をはじめ

 

次のような煮物があげられています。

 

潮煮:室町末期から行われた、魚貝類を塩で昧付けした汁気の多い煮物。
江戸煮:ぶつ切りにした蛸を酒と煎じ茶で煮たあと、醤油で昧をつけた煮物。
阿蘭陀煮:丸のままの鯛を油で揚げたあと、長時間、酒で煮て、醤油で味をつけた煮物。
高麗煮:鯛などの白身魚を酒と米のとぎ汁で煮た、汁気の多い煮物。
五斎煮:魚を白焼きにして、溜醤油で煮たもの。
時雨煮:時雨蛤に代表されるように、魚貝類を醤油で煮た佃煮のような煮物。
定家煮:魚を塩と酒(焼酎の場合もある)で昧を調えた煮物。
難波煮:魚や野菜を葱とともに煮た料理。大阪・難波が葱の産地であったことから命名されたようです。
南蛮煮:魚・烏・野菜などを油炒めした後、葱や唐辛子を加えて煮た科理。南蛮漬ともいいます。

 

すでにこの頃から、関東と関西の味付けの相違がみられ、『守貞漫稿』には、

京坂の煮物は鰹出汁に諸白を加えて醤油の塩味を消し、材料そのものの味を大切にしている。しかし、江戸では諸白に対して味醂酒や砂糖を入れて醤油で塩味をつけるため、素材の味を損ない、京坂の人々には好まれなかった。

と、京坂では白米でつくった麹と蒸し米を水で仕込み、熟成させたものを濾過した上質の酒である諸白、江戸では味醂酒(焼酎に米麹と蒸したモチ米を仕込んで糖化させ、搾って得た酒)を使用していたため、調味料によって素材の味に変化が生じた、と記しています。

 

小魚をはじめ貝類や昆布、海苔などを煮たものを「佃煮」といいますが、正保年間(1644〜1648年)、徳川家康が摂津国の佃村(現在の大阪市西淀川区佃)の漁民を集団で江戸の隅田川河口石川島あたりに移住させたことに端を発します。

 

この地を佃島と呼ぶようになり、この地で採れた小魚を醤油などで煮込んだ常備菜・保存食が「佃煮」の起源といわれています。

 

主に穴子・白魚・イカナゴ・鰻・鯉・鮒・鰹・鮪などで行われ、長期保存が可能であったため、明治11年(1878年)の西南戦争、明治27年(1894年)の日清戦争に際して軍用食として大量生産されました。

 

現在、煮魚のひとつとして甘露煮(飴煮ともいう)がありますが、主に鮎・あまご・わかさぎなどの淡水魚において行われ、生のままか素焼きにした後、醤油や味醂に多めの砂糖、照りを出すために水飴を加えて骨までやわらかくなるように長時間、煮込んだものです。

 

京都では身欠き錬の甘露煮をかけ蕎麦の上にのせた「鰊蕎麦」がありますが、文久元年(1882年)北座の芝居茶屋として創業した「松葉」二代目主人・松野三吉が明治15年(1882年)に考案したものです。

 

乾燥した身欠き錬をもどして使う、海から遠い京都ならではの工夫を凝らした食べ物といえます。

 

さて、魚は骨が多いことから敬遠されがちですが、魚をおろした後に残った骨に付着した魚肉を煮たものにアラ煮があり、刺身や焼き魚にした残りまで余すところなく活用しています。

 

とくに、鯛の頭部を兜に見立てたアラ煮は、「かぶと煮」と呼ばれています。

 

もっとも知名度の高い煮魚に「鯖の味噌煮」がありますが、森鴎外の小説『雁』に、

西洋子供の読む本に、釘一本と云う話がある。僕は好くは記憶していぬが、なんでも卓の輪の釘が一本抜けていたために、それに乗って出た百姓の息子が種々の難儀に出会うと云う筋であった。

僕のし掛けたこの話では、青魚さばの未醤煮が丁度釘一本と同じ効果をなすのである。

と、もののたとえに登場するほど一般的な家庭料理で、赤味噌を用いて鯖の臭みを消して食べやすいように工夫されています。


 

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