和食のスタイルとマナー

和食のスタイルとマナー。「一汁一菜」

 

「一汁一菜」を基本とする和食は、ご飯と香の物のほか、「汁物」と、副食である「菜」で構成されています。

 

今日、「一汁一菜」の献立が質素な食事の代名詞のように認識されているのはなぜでしょうか。

 

それは、鎌倉時代に禅寺で摂られていた食事形式を指す言葉であったこと、さらにお寺の食事ということで、「菜」が野菜や豆類などの食材で調理されたことが一因となっているのではないかと考えられます。

 

「菜」は惣菜ですから、一般には煮物と焼き物ですが、刺身やなます、酢の物でも構いません。

 

たとえば、「天ぷら定食」や「焼き魚定食」などの定食でも、天ぷらや焼き魚が「菜」、ご飯と香の物、そして汁物を組み合わせたならば、これも「一汁一菜」と呼ぶことができるでしょう。

 

さて和食は、テーブルを用いた西洋料理や、円卓と回転テーブルを併用する中華料理などと異なり「銘々膳」つまり一人ずつの膳を用いて供されます。

 

たとえば、「一汁一菜」の献立では、正方形の膳の中のなか、左に飯椀、右に汁椀、向こう側に惣菜のの器、脇に香の物、手前に箸を配置します。

 

おおよそ、この形式は12世紀末期から13世紀初頭に整えられたと推測され、同時期成立の『病草紙』に描かれた歯周病に悩む「歯の揺らぐ男」の前に置かれた折敷(脚のない四角の平らな膳)には、高盛(椀などに食べ物を高く盛ること)にしたご飯に箸を垂直に立て、数種の菜の器が置かれているのを確認することができます。

 

このような銘々膳を使用して供される和食は、基本的に箸一膳で料理を□に運ばなければならないことから、あらかじめ一人分の料理を盛り分け、口に入りやすい大きさに料理されているのが西洋料理などには類をみない特徴であるといえます。

 

箸を使う

スタイルとマナー

 

箸を使用する民族は全世界人口の3割を占めているといわれますが、和食は片手に箸、他方に器を待つこと、その器を持ち上げること、汁物は直接、器に口をつけて食することなどが正しい食事マナーとされています。

 

一方、西洋料理はフォークやナイフ、スプーンなどを使い分けて、料理を口に入る大きさに切ったりしなければなりませんが、器を待ち上げること、直接、器に口をつけることはタブーとされています。

 

ただし、韓国料理では銀製の箸と匙を用いますが、西洋料理同様、一切、器を持ち上げることはしません。

 

古来、日本人は箸だけで食事をしていたのでしょうか。

 

実は、平安貴族たちは箸台(箸置き)に載せた箸と匙(スプーン)を使い分けていました。

 

箸の原型はU字に曲げたピンセットのような形をしていましたが、
奈良時代に中国から、現在、使用しているような二本箸が伝えられました。

 

それは「唐箸」(からばし)と呼ばれ、柳や檜・南天・黒文字・青竹・煤竹(すすだけ)などの素木で作られていました。

 

たとえば、最古の遺品は奈良県・板葺宮出土の檜の箸ですが、今でも、神様にお供えする「神饌」には、伊勢神宮では檜、熱田神宮では柳、春日入社では竹柏などの箸が添えられています。

 

平安時代に入ると、金・銀・白銅・銅・鉄などの金属製のものがあらわれました。

 

なかでも、銀は砥素に触れると変色しますので、銀製の筈は食べ物の毒物混入を容易に見分けられる利点がありました。

 

さて、一日三食制が広まった鎌倉時代以降、箸の使用頻度が高まり、耐久性が求められるようになって、漆を塗った塗箸が出現しました。

 

根来塗(和歌山県)若狭塗(福井県)津軽塗(青森県)、春慶塗(岐阜県・秋田県)・秀衡塗(岩手県)などが有名です。

 

このような日本の箸文化は1563年、キリスト教を布教するために来日したイエズス会司祭ルイスーフロイス(1532〜1597年)」を大いに篤かせました。

 

彼の日本での見聞をしたためた『日本覚書』のなかに、

 

ポルトガルでは4歳児でも、まだ自分の手で食べることができない。
しかし、日本の子供は3歳で箸を使ってひとりで食べている。

 

と、幼児ですら巧妙に箸を使っている様子を書き留めているほどです。

 

というのも、当時のヨーロッパではナイフとフォークの使用は一般化しておらず、手づかみで食べ物を□に運んでいたからです。

 

しかし、現代人はフロイスをこのように感嘆させた箸の持ち方が少々、へ夕になっているようです。

 

箸は魚の骨と身を分けやすくするために、片端だけを細くする工夫が施されていますので、箸一膳でナイフとフォークの役目を兼ね備えた、優れものといえます。

 

また、次のような箸の扱いについても、心得ておきたいものです。

 

惑い箸:迷い箸ともいい、菓を取ろうとして、箸をあれこれ種々のものに向けること。
刺し箸:芋類などぬめりのあるものや、崩れやすい煮物を食べるときに箸を突き刺すこ
渡し箸:料理の器の上に笞を渡して叫くこと。
涙箸:箸の先から汁をたらすこと。
さぐり箸:鍋物料理など、食卓に置かれた鍋の中をかき回して、好みのものを探すこと。

 

箸の話


箸を使うから脳が若い

 

生涯、箸を使うから脳が若い

 

ちょと前までの日本では、どこの家でもお母さんが朝暗いうちに起きてご飯を炊いていました。

 

日本人は炊き立ての湯気の立つご飯が人好きなのです。

 

ですから、お母さんは口の中で「初めチョロチョロ、中パッパ」などと呪文を唱え、夫や子どもたちにおいしい朝ごはんを食べさせようと早起きをしたものです。

 

お母さんの炊いたご飯はひと粒ひと粒が立っていて、表面に艶がありほのかに甘いのです。

 

食べるといかにも体中に「米の力」が浸透していくような感しがして、家族は朝から元気かわいたものです。

 

そのご飯を箸で小さなかたまりにして口に運ぶ。かたまりはつぶつぶがお互いにほどよく粘り合って崩れないのです。

 

どのくらいのかたまりにするか、日本人は無意識のうちに箸の先を器用に使いこなして形にしているのでした。

 

目安はひと口大。それほど大きく□を開けなくても、品よく口の中に納まる程度のご飯のかたまり。

 

時には、そのご飯のかたまりの上に漬物とか、塩ザケのほぐし身などをのせたりするか、空中で崩れたりしないのです。

 

ご飯だけではありません。味噌汁でも漬物、煮豆、納豆、豆腐、焼魚、刺身でもすべてこの二本の箸で上手に取り分けて口に運びます。

 

焼き海苔をご飯の上に広げ、箸を使って海苔巻きに仕上げる仕草など、まるで手品のような鮮やかさがあります。ホテルなどでこの光景を目にして、、外国人もよく目を丸くしています。

 

指先には神経が集中していて脳と連動しているのです。

 

指先を器用に使うことは脳の活性化に役立ち、その若さを保つのにも有利なのはよく知られています。

 

日本人をはじめ箸を使うアジアの人々は、生まれて食い初めの時から二本の箸を持ち、寿命のつきる直前まで手放すことはない。

 

生まれて母乳と決別した幼児が、箸をしっかり握りしめて「食の冒険」に旅立つのです。

 

箸を使って、まずご飯の食べ方から学習します。ご飯は日本人の主食であり、ご飯の味をしっかり覚え、そのご飯の味に合うおかずの昧を学びながら成長していくのです。

 

三度三度、食事ごとに、箸を使い続けることは、年齢に関係なく、脳の機能を向上させるためのエクササイズのようなおのなのです。

 

日本人にとって「生涯現役」というのは、実は「生涯箸使い現役」のことでもあるのです。

 

箸の話


 

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