基本の汁物

和食の基本は汁物

 

「一汁一菜」「一汁三菜」を基本とする和食において、汁物が必須のものであることはいうまでもありません。

 

現在、「汁」は味噌汁を指し、すまし仕立の汁物は「吸い物」あるいは「つゆ」と呼んで区別されています。

 

白いご飯には味噌汁がつきものですが、味噌汁が誕生したのは室町時代になってからといわれています。

 

16世紀末期の料理本によりますと、その当時の味噌汁は真雁・鶉・狸などの鳥獣が具材とされ、最高級のものは鶴汁というものでした。

 

江戸時代の鶴汁は、出汁も鶴の骨でひいた味噌仕立ての汁で、鶴肉に柚子や山葵を添えると、大変、芙味であったようです。

 

鶴は現在は天然記念物に指定されていますので、再現できない味ではあります。

 

懐石料理では、ご飯・向付とともに白味噌や合わせ味噌を用いた味噌仕立ての汁が最初に出され、会席料理では酒宴の終盤に「止め椀」と称して供されます。

 

ともに趣向を凝らした季節感あふれるものですが、一般家庭のみそ汁は、「お袋の味」といわれるように、各家庭の味わいが反映されています。

 

次のような具材を用いた味噌汁が多いようです。

魚介類 しじみ、あさり、鱈、鮭、海老、蟹、魚のアラ
海草類 ワカメ、とろろ昆布、青のり、板海苔、アオサ、ヒジキ
加工品 豆腐、油揚げ、厚揚げ、納豆、ちくわ、麩、そうめん、こんにゃく
野菜類 タマネギ、ジャガイモ、薩摩芋、長芋、山芋、大根、牛蒡、蓮根、ほうれん草、小松菜、蕗、ナメコ、エノキタケ、椎茸、シメジ、ミョウガ、タマネギ、キャベツ、なす、三つ葉、白菜、南瓜、モヤシ、芹、ショウガ、筍
そのほか 鶏肉、豚肉

 

味噌汁の中で特徴的なものを2,3ご紹介しましょう。

 

まず、輪切りにした鯉を赤味噌仕立て(白味噌の場合もある)の汁で煮たものを「鯉こく」といいますが、鰻・鮒・すっぽん・サンショウウオ・野鳥類を使っても行われたようで、江戸の人々が好んだ味だったようです。

 

「鯉こく」と同様に、江戸時代に好まれた味噌汁に「納豆汁」があります。

 

納豆のほかに、豆腐・油揚げ・野菜類を加えた汁で、辛子や柚子ニンニクなどが添えられました。

 

与謝蕪村は「朝霜や室の揚屋の納豆汁」という句で納豆汁を詠み、『守貞澄稿』にも納豆売りという商売が紹介されています。

 

納豆売り 大豆を煮て室で一夜、寝かせて売り歩く。昔は冬だけの商いであったが、近
年は夏もこれを売り歩くようになった。汁の具にするか、あるいは醤油をかけて食べる。

と記されているように、江戸時代木期、納豆は汁物か、醤油をかけて食べる習慣が定着していたようです。

 

しかし、今日、納豆汁は全国的なものではなく、岩于県・山形県・新潟県の郷土料理になっています。

 

寒い冬の季節限定の汁物といえば、「豚汁」ではないでしょうか。

 

そのルーツは定かではありませんが、肉食が解禁された明治時代以降であることは想像に難くありません。

 

豚肉にアクの強い牛苓や、大根、人参、里芋あるいは薩摩芋などのイモ類、蒟蒻、豆腐・油揚げ、椎茸やシメジなどのキノコ類を貝材とし、味噌・酒粕を加えた具だくさんの味噌汁です。

吸い物。醤油味のすまし汁

 

さて、会席料現の三品目に出される椀物は吸い物、つまり、醤油味のすまし汁です。

 

江戸時代には味噌汁の上澄みを用いた「みそすまし」と出汁に塩・醤油などで味付けしたものの二種類がありましたが、幕末頃から後者だけを「すまし汁」と呼ぶようになりました。

 

主な吸い物として次のようなものがあります。

 

吉野仕立:すまし仕立ての汁に薄く葛を溶き入れたもの。
みぞれ仕立:おろし汁ともいい、大根や蕪のおろしたものを加えたもの。味噌仕立てにすることもあり、汁が「みぞれ」に似た状態であることから、この名があります。
潮仕立て:昆布や鰹などの出汁を用いず、主素材の魚介類から出るだし汁で仕立てたもの
すり流し仕立:よく摺りつぶした肴肉を煮出し汁に徐々に入れて、摺りのばしたもの。
とろろ仕立:すりおろした山芋を入れた汁物。
利久仕立:冷やしたすまし什立ての汁に挽き茶を入れたもの。
酒香仕立(粕汁):里芋・大根・人参・藻吻・鱗などの具材を煮込んだ汁に、酒粕を加え醤油や塩で調味したもの。

 

吸い物は高度な調理技術が求められ、汁椀の蓋を取った瞬間の香気、色彩、味の良さが要求されます。

 

出汁の工夫、椀種(具)、つま、吸い口の取り合わせが吟味され、吸い物一口で料理人の腕前が判断できるとさえいわれています。


 

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