下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)
脚のむくみも経験のある人が多い症状です。
地球には重力があることから、一日中立っていると血液やリンパ液などの水分が足のほうに下がっていき、健康な人でも夕方には多少脚がむくむものです。
靴は夕方に買いに行くほうがよいといわれるのは、そのためです。
午前中に足にぴったりの靴を選んでも、夕方になると、むくみのためにきつくなってしまうからです。
こういった生理的なむくみは、長時間立っていたり、椅子に座っていると起こるもので心配はいりません。
男女を問わず高齢者に多く見られますが、若い人でも水分をとりすぎると起こります。
しかし、押すと明らかにへこみ、その押した指の跡がしばらく残るようなら、
病的なむくみである可能性も考えられます。
脚だけでなく、顔、とくに目のあたりも一緒にむくむようなら、さらに病気の一症状としてむくみが出ている可能性が高くなります。
脚の血管がボコボコと浮き出てむくんでいる場合は下肢静脈瘤です。
たぶん、ほかにも、足が疲れる、だるい、重いなどの症状もあるのではないかと思います。
心臓から送り出された血液は、動脈を通って体の中をひとめぐりし、静脈を通って再び心臓に戻りますが、下肢静脈瘤は、この血液の帰り道である静脈の逆流防止弁が壊れ、血管内に血液かたまってしまうために起こる病気です。
その部分の静脈に血液がよどんでしまうため、冷えを感じることがあるのです。
関連参照:「むくみ」を知る
深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう)
脚や骨盤の静脈に血栓(血のかたまり)ができて血液の流れが悪くなると、脚がむくんできます。
さらに事態が進んで血栓で静脈か詰まってしまうと、深部静脈血栓症という病気になってしまいます。
病気で長く寝ている人、太っていて運動不足の人などで、やたらに脚がむくんできたという場合は要注意です。
リンパ浮腫(りんぱふしゅ)
下腹部の手術のあとに脚のむくみが出ることもあります。
少々のむくみではなく、脚が太くなったと感じるほどむくんできたら、手術の影響で骨盤内のリンパ液の流れが悪くなるリンパ浮腫である可能性もありますので、すぐに医師に告げるようにしてください。
気づかずに放っておくと脚が赤く腫れて熱を持ち、痛むようになってしまいます。
蜂窩織炎(ほうかしきえん)
脚がむくんで熱と痛みを伴った場合、蜂窩織炎(ほうかしきえん)の疑いがあります。
皮膚や皮下組織の血液やリンパ液の流れが悪くなると、休の抵抗力が落ら、水虫や靴ずれ、ちょっとしたケガなどから容易に細菌に感染してしまいます。
この状態を蜂窩織炎といいますが、むくみが進んで脚がパンパンに腫れてきて歩けない、というようなことになる前に、一刻も早く病院へ行きましょう。
関連参照●蜂窩織炎
糖尿病
脚のむくみ以外にしびれなどの異常感覚があり、他にはとくに自覚症状がないという場合、糖尿病も考えられます。
糖尿病の症状は、病気かある程度進行してからでないと現れないことがほとんどです。
現在では集団検診が普及したので、症状が出る前に血糖値が高いことを指摘されることが多いのですが、それでも発見されないケースはまだまだあります。
糖尿病は放置しておくと命にかかわる合併症を引き起こすこともありますので、脚のむくみも含めて少しでも疑わしいことがあれば、検査を受けることをおすすめします。
そのほかの内科的疾患
立っているときは脚がむくむのに横になるとむくみが消える、まぶたもむくむ、というような場合、腎臓や心臓、肝臓の機能が低下している可能性があります。
横になったとき、実はむくみは消えたのではありません。
水分は重力のかかる場所に移動するため、背中がむくんでいるのですが、目につかないというだけなのです。
押すとへこむむくみです。